水に浸かったピアノの判断

 ~ 2004年(H.16)台風23号でピアノが水に浸かった際の記録 ~

水害直後から、家や仕事場の片付けが押し迫って来ました。
「棄てる物 or 残すもの」の適切な判断は、たいへん難しく、
今になると、棄てたものを残念に思い、棄てておけばよかったと後悔している物がたくさん残っています。

浸水等の被害を受けられた方に参考にしていただけるのではないかと思い、10年前の記録を掲載させていただきます。 (当時、気持ちに余裕が無く、写真が一枚も残っていません)

ピアノを廃棄するか修理するかは、水が鍵盤の上まで浸かったもの or 鍵盤の下まで 浸かったもの、で考えてよいでしょう。
鍵盤の下までなら、簡単な修理だけでも使い続けられる可能性があります。

思い起こすと水害の際、たくさんの方の助けを頂きました。改めて感謝しています。
被災された方々、どうかお体には十分注意され、がんばってください。

水害の際の記録 ~~~ 予想もしない事が起った ~~~
2004年10月21日午後7時ごろ、足元に浸水して来た水は4時間ほどで鍵盤あたりまでの水深となり、次の朝にはすっかり退いていた。
仕事場の壁やピアノの側面には、くっきりと「ここまで浸かりました」の痕。
妻土台・ペダル・裏側の支柱の下部分には泥がたまっている。

倉庫などに保管or作業中の全26台は、
A:鍵盤まで浸かったもの
B:棚板までのもの
C:それ以下のもの があった。

Aは、すでにガチガチに鍵盤スティックをおこしていた。
Bの棚板には水が溜まったままで、5日間ほどそのままにしていたものは、だんだん鍵盤の木部が水分を吸って膨らみ、となりの鍵盤どうしでくっつき固まった。
また、年代の古いものは、脚や妻土台などの木部の塗装がシワシワになったり、パラパラめくれてきたりしている。駒にヒビが入り駒ピンが起きてきているものもあった・・・
Cは、時間の関係で、しばらくそのままに。

A とBの状態の悪いピアノ18台を廃棄することになったが、多額な運送料&処分料がかるため、親戚の軽トラックと友人の助けを借りて、1台ずつ災害ごみ集積所へ・・・。

B は、以下の様子で作業を進めた。
1:バックの下の水と泥を掃除。
2:鍵盤を外して、棚板の水やドロを掃除。
3:鍵盤筬を取り外し、棚板を雑巾とコンプレッサーで掃除。
4:本体を寝かせて、底板を取り外しホースで水をかけながらブラシで掃除。その後コ
ンプレッサーと雑巾でふき取り。
5:巻き線をはずしコイルの隙間のドロをブラシとコンプレッサーで掃除、駒の上側な
どの泥を拭き掃除。フェルト類を交換。早速錆の進行し始めた巻き線の芯線部分を研磨
材で錆落としし、再び張りなおし。
6:本体を立てて、乾かした後、組み立て。
7:再調整。

※役に立った道具=コンプレッサー、ピアノを寝かせる台、電動ドリルドライバー、針金ハンガー(巻き線の玉の部分を通しておく)、真鍮ブラシ、靴洗いのブラシ(100均品)、歯ブラシ、など
※乾いた泥は、水拭きの前にブラシでゴシゴシし掃除機で吸うのがよさそう。但し掃除機の紙パックはすぐ詰まりオーバーヒートして止ることも・・・。

こんなことも
:塗装の傷んだ部分は、塗装修理。
:グランドピアノをひっくり返して棚板を外し、反った棚板上部のカンナがけ。
:カンナ・薄刃・カッター類、ドライバー・ペンチ類などは、2日目には、すでに赤錆 がついていて、コンプレッサー・タオル・真鍮ブラシ・潤滑油で手入れ。電動工具は、コンプレッサーで水分を吹き飛ばすと動いた。

C のピアノや、数日後から伺ったお客様宅のピアノは、下パネル内を掃除と出来る限りの錆び落しをし、うんと狂った状態から調律と調整をして様子を見た。

この後、ご家庭の「水に浸かったピアノ」を見ていますが、鍵盤より下までのピアノは、今も普通に使われています。