Q、ピッチ 『ピッチはどうしましょうか?って聞かれたけど・・・』
A、ピアノ調律で「ピッチは?」というと、鍵盤の中央より少し高い『ラ』の音の周波数を指しています。
現在の日本の音楽ホールではA=442Hz(ヘルツ)で調律されることが多く、アコースティック楽器製造の基準もほとんどA=442Hzになっています。
一方、電子楽器の初期設定ではA=440Hzになっている事が多く、録音スタジオや歌謡曲&ポップスのコンサートではA=441Hzの指定も多いです。
単独で聞いて1Hzの違いが分かる人は少ないですが、合奏する時には、楽器どうしのピッチを正確に合わせなければ良いアンサンブルは出来ません。
また、暑くなると、弦楽器やピアノの音程は下がり、管楽器の音程は上がります。その差が5Hz以上になることもあります。
1939年(≒80年前)ロンドンで行われた会議で、「世界標準ピッチ」として『ラの音を440Hz(1秒間に440回振動する音)に統一しよう』と話し合われたそうです。
※ 1939年=昭和14年 第二次世界大戦勃発 日本でもテレビ放送の実験開始
飛行機などの交通機関が発達し、演奏家が世界各地で演奏するようになると、とりわけ管楽器奏者は、訪問の先々での異なるピッチにはさぞ困ったことでしょう。世界各国または同じ国でも地方によって違っていたピッチを、同じにしておくのが合理的と考えられたようです。
日本でA=440Hzが取り入れられる前の西洋楽器はA=435Hzが標準だったそうです。
思い起こせば40年ほど前、私が中学生の頃、ブラスバンドの部室に古いシロホンや黄土色になった管楽器が残っていて、新しい楽器とは全く合わなかったのを覚えています。
バッハの活躍した1700年ごろのヨーロッパでは、半音ほど低いA=415Hz、あるいは一音低い392Hzなど、国や地方によって様々なピッチが使われています。
日本の畳が、本間・京間・江戸間などいろいろなサイズがあるのにも似ていますね。
音楽の歴史を振り返ると、時代や地方によって様々なピッチが使われていて、それぞれの理由も興味深いです。
調律の歴史年表にもピッチの変化を少し記載しています。「鍵盤楽器の為の十二音相環図」
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